リバネス出版

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研究のヒントは、大学の外にある

小山浩幸 芝浦工業大学氏 -システム理工学部 生命科学科 教授-
掲載号:『someone』2008秋冬号
 医療用ロボットを開発しながら,学生には映画やマンガ,テレビを見ることにも時間を使うよう勧めている。「そこから何か新しい知識を得られるかもしれない。ロボットをつくるときに最も大事なのは,常にアイディアを生み出す豊かな発想力なのです」。

遠隔超音波検査ロボットの必要性
 病院に行ったときのつらい体験がもとで,小山さんは医療に興味を持ち始めた。自分の専門である工学の力を利用して,患者にも医師にも快適な医療を実現したい。そんな想いから参加するようになった医療系の学会で聞いたのは,遠隔で操作できる検査ロボットの必要性だった。なかでも近年は産婦人科医が不足し,妊婦が遠くの病院へ通院する必要が出てきている。妊娠した女性の多くは,定期的に胎児の発達を調べるために超音波検査を受ける。超音波は物体に当たると反射するため,その反射波の強さや反射するまでの時間をもとにして画像をつくることで,からだの中を検査することができるのだ。これを遠隔でできるロボットをつくれば,通院の負担を減らせると小山さんは考えた。

白紙から考える
 開発のため,まず産婦人科を見学した。診察中,医師は超音波を送受信するプローブを自由に動かしているように見えた。しかし,よく観察してみると,からだに対して縦方向,横方向の移動と,回転,首振りというたった4 つの動きの組みあわせで再現できることに気づいた。「どういうかたちのものをどう動かせば無駄なく再現できるのか。それを何もない状態から決めるのが最も難しく,最も楽しいのです」。この動きを実現するため,妊婦のお腹に沿ったアーチ型のレールをつくり,その上でプローブを動かすしくみを考えた。ここまで決まれば,後は必要な部品を組み立てるだけ。その後,コンピュータの設定を経て,ついに遠隔操作で動くロボットが完成した。

体験が生み出す発想
 小山さんは,机上の研究ばかりでなく,展示会で実際に動くロボットを見て,触れることを大切にしている。遠隔超音波検査ロボットの着想も,自身の体験が根底にあった。研究室の学生たちには,研究と関係のない趣味の時間も大切にして欲しいと考えている。「幅広くいろいろなものを見て,発想を豊かにしてほしいのです」。それは,また必ず次のロボット開発に役立つはずだ。
(文・磯貝里子)



小山 浩幸(こやま ひろゆき)プロフィール
1971 年芝浦工業大学に赴任。講師,助教授を経て,1999 年より現職。博士(工学)。

※2008年度現在の所属はシステム工学部。2009 年度からシステム理工学部に改称。

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